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妊娠高血圧症候群の方に、安静が必要なのは、赤ちゃんの発育を促すとともに、子癇などの重篤な合併症を予防することが目的です。赤ちゃんを出産した後は自然に軽快し、産後約12週間までにほとんどの方が元どおりの血圧になります。しかし、妊娠高血圧症候群になった方は、その後の人生で高血圧や心筋梗塞、脳梗塞を生じやすい傾向にあることが知られていますので生活習慣に気を付けましょう。
〈参考文献〉
妊娠糖尿病で、血糖値をコントロールするのは、赤ちゃんが大きくなりすぎないようにするためです。出産後は妊娠による負荷がなくなりますので、何もしなくても元に戻ります。しかし、妊娠糖尿病になった方は、その後の人生で糖尿病になるリスクが高いことが知られています。生活習慣に気を付けましょう。
〈参考文献〉
妊娠による尿もれは、子宮や膀胱を支えている骨盤底筋群がゆるむことが原因で起こることがあります。緩んだ状態で、くしゃみなど、腹筋に力が加わったときにもれることがあるのです。産後3か月で尿もれがある人は約30%とも言われます。筋肉のゆるみが原因なので、トレーニングにより改善することが期待できます。気になる場合には、入院中に医師や助産師に相談してみましょう。
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〈参考文献〉
妊娠中は大きくなった子宮に圧迫され、骨盤内の静脈血行はうっ滞しやすく、肛門周囲の粘膜は血管も豊富であるため、肛門周囲の静脈瘤である、痔核が生じやすくなっています。これは、妊娠による体の変化により生じるため、産後には軽快することが多いです。
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〈参考文献〉
自分の出産体験を語ることによって、再度体験することで出産体験の意味付けを行うことをバースレビューといいます。出産体験を肯定的に受け止め、出産に満足することで、産後の育児に前向きに向き合いやすくなります。話したいと感じたときには、助産師などと体験を共有されるとよいかもしれません。
〈参考文献〉
出産後にしばらくの間子宮から排出される分泌物を「悪露(おろ)」といいます。胎盤が剥がれた後、子宮の内側の組織や血液などが排出されるのです。通常は産後4~6週で出なくなります。赤ちゃんが乳首を吸うと、オキシトシンというホルモンが出て、子宮の収縮や悪露の排出が促進されます。そのため、母乳育児をしていると悪露が少なく、貧血にもなりにくいといわれています。
悪露には正常でも多少匂いがありますが、子宮内感染が起こると腐敗臭を伴い、腹痛や発熱などが生じます。気になる場合は受診しましょう。
〈参考文献〉
ある調査では産後3ヶ月の自覚症状は、腰痛や背中の痛みが約5割、尿失禁、外陰部の痛み、痔、便秘が約3割だったそうです。約6割の人が産後1年半の時点で「疲労困憊している」と答えました。このように、産後のママの負担は想像以上に大きいもの。ママが元気でいることは、赤ちゃんにとっても非常に大切です。産後はできるだけ色々な人の手を借りて負担を減らし、周囲や専門家に相談しましょう。
〈参考文献〉
経腟分娩の場合、赤ちゃんが通過する産道の一部である腟や外陰部は、いきみによりむくみやすく、赤ちゃんの通過により裂傷が生じることがあります。また、会陰切開という医療処置を受ける場合もあります。会陰切開や会陰裂傷による痛みは、産後2週間ほどで感じなくなるママが多いといわれます。
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〈参考文献〉
日本では2割弱の方が帝王切開分娩します。手術翌日から歩行を開始しますが、産後の入院期間は経膣分娩と比べて2、3日長引くのが一般的。入院中は約9割の方が創部の痛みを訴えます。1年経っても、2割の方がしょっちゅう痛むと回答されています。痛い中で育児をすることになるので、できるだけ周囲がサポートするようにしましょう。
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産後、体を休ませることは大切です。一つ注意点を挙げるとすれば、妊娠中から産後3ヶ月までは、血管の中で血が固まりやすくなっています。そのため、筋肉を動かさないままだと、静脈の血流が悪くなり血栓症(エコノミークラス症候群)を発症するリスクが高まります。入院中などあまり動けない場合でも足首をパタパタ動かすなどして血流をよくしましょう。
〈参考文献〉
育児中、乳房トラブルはもちろん、肩こり、腰痛、背部痛など筋骨格系の痛みを生じる方は多いです。授乳姿勢を整えたり、抱っこ紐の調節をする、立ち座りの姿勢を整えるなど、小さな諸動作の改善で楽になることはたくさんあります。周産期ウィメンズヘルスリハビリテーションを試すのも良いでしょう。
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〈参考文献〉
産後は、人生の中で「女性の弱り目」に当たる時期です。生理学的理由によって、抜け毛、体の痛み、疲れやすい、気持ちが沈みやすいなど…。できるだけ、「自分が疲れないように」と心がけてください。ママが体も心も健康でご機嫌であることこそ、赤ちゃんにとってとても大事なことです。
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産後は6週以降を目安に、悪露(おろ)や会陰の状態が問題なければ、セックスを再開できます。しかし、産後のママの体は想像以上にデリケートです。自分で判断せずに、医師の判断を仰ぎましょう。授乳中はエストロゲンが低下するため、腟が乾燥しやすく、場合によっては痛みを感じることもあるかもしれません。また、体だけでなく心の準備も必要です。無理せず、パートナーとよく相談しましょう。
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子宮頸がん検診は、お子さんが1才になる頃を目安に受けましょう。乳がん検診は、授乳中は乳腺の発達により、診断が難しくなっています。卒乳・断乳の6か月後を目安に受けましょう。しこりなど自覚症状のある場合や、2年以上間隔があく場合には、かかりつけ医に相談をしましょう。
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大丈夫です。2018年8月、乳児用液体ミルクの製造・販売が可能になりました。液体ミルクは高温滅菌済みのため常温で保存可能、調乳の手間が入りません。保育者の体調が悪い時、夜間や共働きで時間が限られている時に簡単に授乳ができます。災害時の備えとしても活用できます。ピンチの時に上手に利用したいですね。
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出産前に育児について
学びましょう!
こんにちは。
e両親学級 子育て教習所です。
私達の調査で産前産後のイメージギャップが育児不安に関係することがわかってきました。
そこで、少しでも大変さを理解し、ギャップを埋めるためのカリキュラムを作成しました。
京都大学の専門家の方々がエビデンスに基づいた最新の情報をお届けします。
是非パートナーと一緒に学び、楽しいチーム育児ライフを送りましょう!
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ここでは女性の体に起こるさまざまな変化について学んでいきます。妊娠をきっかけに女性の体にはさまざまな変化が生じます。出産が終われば、すぐに妊娠前の状態に戻るのではなく、時間をかけて妊娠前の状態に回復します。この期間は産褥期といわれ、一般的に6~8週間といわれていますが、回復したと感じるのは人によってさまざまです。体の変化とその対応について知ることで、ご自身の体をいたわりつつ、周囲の協力を得ながら無理なく楽しい子育てをスタートされることを応援しています。