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睡眠
赤ちゃんにとって枕は、必ずしも必要というわけではありません。枕を使い始める場合、目安は1歳前後とされています。
Clinically Oriented Anatomy 8th EDITION 2. BACK
米国小児科学会は、生後4ヶ月未満だけでなく、生後4ヶ月以降の乳児でも、ベッドに布団や枕などの柔らかいものがあると突然死のリスクが高まるとして注意を呼びかけています1)。消費者庁の調査2)では、平成 22 年から26 年までの5年間分で0歳児の就寝時の窒息死事故が 160 件確認されています(不慮の事故死全体の 32%)。そのため、安全の観点からも、突然死や事故の原因になりうる枕を急いで使う必要はないと考えてよいでしょう。 ※赤ちゃんの安全な睡眠についてより詳しく知りたい方は「赤ちゃんの安全な睡眠」のページをご参照ください。
0歳児の不慮の事故死の原因
消費者庁. (2016). 0歳児の就寝時の窒息死に御注意ください!
枕は不要とはいえ、「赤ちゃんの頭の形が気になる」という方もいると思います。ここでは、米国小児科学会が提唱する枕以外で頭の形を整える方法をご紹介します(以下、米国小児科学会「頭蓋骨変形のページ」を一部翻訳引用3))。
赤ちゃんの3分の1が何らかの頭蓋骨の変形を経験することをご存知ですか? これは「フラットヘッドシンドローム」と呼ばれるもので、いわゆる後頭部の「絶壁」もその1つです。長時間、一定の向きで過ごすことで頭の形が変わってしまうのです。赤ちゃんの頭蓋骨は大人とは違い、柔らかく、可動性があります。これは、出産時に頭が産道を通過し、生後1年間の脳の急速な成長に合わせるためです。フラットヘッドシンドロームのリスクは、生後4ヶ月の間で最大になり、赤ちゃんが自分で頭を動かせるようになると(一般に6ヶ月くらい)改善します。予防したい場合は、枕以外の方法があるので参考にしてください。どの方法も頭の同じ部分に圧がかかることを軽減するための方法です。
• 赤ちゃんの寝る向きを交互に変えることによって、光や気になるものの方へ自然と顔の向きを変えるようになります。
• 赤ちゃんが起きている時は、椅子やカーシートのような赤ちゃんの後頭部にずっと圧力がかかるもので過ごす時間を制限しましょう。
• 母乳であれば自然と交互に授乳をしますが、哺乳瓶での授乳の場合は意識して抱く側を切り替えましょう。
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人のからだの作りをイメージしてみてください。大人の背骨はS字にカーブしています。このS字カーブによって、からだを支えたり、歩いた時の衝撃を和らげたり、バランスをとったりしているのです。枕は、寝ている時もこのS字カーブを自然に保ったり、頸椎を支える役割があります。
しかし、赤ちゃんの場合、少し勝手が違います。赤ちゃんは子宮の中にいる間、からだを小さく丸めています。そのため、生まれてからしばらくは背骨がC字にカーブしています。
この背骨の特徴から、一般的に、赤ちゃんには枕は必要ないと考えられています。 余談ですが、このような赤ちゃんのからだの作りを知っていると、赤ちゃんの背中に沿って丸く(C字に)抱っこしてあげると落ち着く理由がよくわかるのではないでしょうか。もちろん、「知っていること」と「できること」は違います。始めは不慣れでも、赤ちゃんが生まれてから少しずつ練習してみましょう。